忘れなそ、ふるさとの山河 〜郷土史編〜

地方の精神と国のかたち、都市は地方の接ぎ木である。

“豊後のロレンス”のブログを訪問頂きありがとうございます。 望郷の念止み難く、豊後及び佐伯地方の郷土史研究と銘打って日々の想いを綴っております。たまには別館ブログ(リンク先)でcoffee breakしてみて下さい。読者になって頂ければ励みになります。

鉄の来歴に想う 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(11)

鉄について語らぬ訳にはいかない。人間の営みを観察する限り無視し得ない対象である。 鉄は、農機具への使用は農業生産力を、武器への利用は殺傷能力(戦闘能力)を、飛躍的に高めた。無論、それに留まるものでは無いが、鉄は為政者には国力増強と生活者には…

佐伯と瀟湘八景

佐伯志(史では無い)をめくっている。佐伯八景という項に目が止まった。 八景とは北宋の官僚宋迪(そうてき)が湖南省長沙に赴任時に描いた山水画、瀟湘八景がその始源である。洞庭湖、これに流れ込む瀟水、湘江の風景を描いた。これで八景のテーマが確定し…

豊後相克の行方(続編) 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(10)

前回、大友氏の宿痾について触れた。極めて面倒な作業であるが筆者なりの解釈でこれをまとめてみる。 15世紀中期から16世紀末までのこの時期は、守護大名が戦国大名への変貌期にあり主従関係は緩くフラット気味であったろうか。在地領主に主家をも自力救済(…

母のツバメ

この時期の母のパートナーは玄関の梁に住まう燕である。誤解なきよう言っておくが”若いツバメ”ではない。最早そんな歳ではない。今年、90歳になる。 限界集落を絵に描いたような、かつては里山であった山間に、父が逝った後は一人で暮らす。家の外に出ても話…

大気と水への誘い 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(9)

前回に続く。西欧世界のアジア世界への到達について大気と水の視点から見る。 大気は風になる。渡り鳥には欠かせない。水は潮流になり海流になる。海流は回遊魚には欠かせない。潮流は引力が起こし海流は風が起こす。古代から人は回遊魚には倣うことは出来た…

国際貿易の嚆矢 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(8)

交易と言えば香辛料と奴隷である。紀元前より奴隷貿易はある。また古くからアラブ商人の主要な取引品でもあった。アフリカはともかく東欧やトルコから多くを調達した。奴隷のことを英語でslaveというが元はスラブ人のことであるのは周知の通りである。イスラ…

海からの覇権 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(7)

“海賊”は、本来、海の統治者である。陸の統治者が”土”を知行地とするのに対し、”水”を知行地とする違いに過ぎない。いわば海の在地豪族である。陸の権力が自らと同等に扱わない限りにおいて海賊となるのである。地球の7割は海である。海から見た道理があって…