忘れなそ、ふるさとの山河 〜郷土史編〜

地方の精神と国のかたち、都市は地方の接ぎ木である。

“豊後のロレンス”のブログを訪問頂きありがとうございます。 望郷の念止み難く、豊後及び佐伯地方の郷土史研究と銘打って日々の想いを綴っております。たまには別館ブログ(リンク先)でcoffee breakしてみて下さい。読者になって頂ければ励みになります。

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

国際貿易の嚆矢 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(8)

交易と言えば香辛料と奴隷である。紀元前より奴隷貿易はある。また古くからアラブ商人の主要な取引品でもあった。アフリカはともかく東欧やトルコから多くを調達した。奴隷のことを英語でslaveというが元はスラブ人のことであるのは周知の通りである。イスラ…

海からの覇権 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(7)

“海賊”は、本来、海の統治者である。陸の統治者が”土”を知行地とするのに対し、”水”を知行地とする違いに過ぎない。いわば海の在地豪族である。陸の権力が自らと同等に扱わない限りにおいて海賊となるのである。地球の7割は海である。海から見た道理があって…

豊後相克の行方 中世豊後及び海部郡・郷土史研究資料(6)

いつの世にも避けがたい新興勢力に対する旧勢力の反駁・反抗である。ただ、豊後においてはその新興勢力が進駐軍であったことが最後まで双方の宿痾として戦国時代末まで続くことになる。 豊後の名族・大神姓緒方氏は、源義経に対する頼朝追討の院宣を受けて義…

鬼が曳く(1) 別館ブログ「海の向こうの風景」立ち上げ予定

1990年代初頭、今日もまた善男善女が曳かれていく。 視界を遮るものとてない殺伐たる赤茶けたあるいは灰褐色の不毛の土漠の果てに、今日も一日ひたすら地表のものすべてと大気を焼き尽くしてきた白色の太陽が、漸く(ようやく)橙色に色を和らげて、地表に霞…

隠れ棲む人々 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(5)

以下、伝承と事実の欠片を拾い集めた筆者の想像である。信じるか信じないかは読者次第である。 最近、同郷のA氏から故郷のある集落についての不思議な話を聞いた。郷土史に詳しい御父君からA氏が未だ若かりし頃聞いた話との事であったが、久々に背筋に電気が…

道路交通法第五十三条について考える

道路交通法第五十三条について考える。 どうしても同意を求めたい事が一つある。世のドライバーの車の機能に対する理解の仕方についてである。というか運転の心構えについてである。もっとも、ここは方向指示器に限定しての話である。方向指示器はそもそも何…

苗字に追う歴史 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(4)

我が佐伯地方にかかわる苗字について調べたことがある。 竹馬の友に「お前の苗字の由来を知っているか。少なくとも今の内に役所から戸籍の履歴をすべて貰っておいた方がいい。その内、過去のものは抹消される。家譜を辿れなくなるぞ。」と脅されたからである…

地勢と生活文化(続編) 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(3)

インドに駐在するK氏から叱声が飛んできた。 筆者が、「この地は華やかな歴史舞台には登場しない。」、と書いたことへの反論である(4月7日付け、地勢と生活文化(1)参照)。地元の輝かしい歴史に目を向けるべきだ。曰く、縄文時代の最先端の文明・技術がか…

地方選に想う

女性たちの熱い戦いが終わった。 佐伯市俯瞰 我が故郷佐伯市長選のことである。静かな街は久方振りの”祭り” に湧いたことだろう。前回の無風選挙から、今回は一転、現役に三名の新人が挑戦した。そのうちの一人が女性候補で”大分県初の女性市長実現を”、と銘…

佐伯の殿様、浦で持つ 中世豊後及び海部郡・郷土史研究用資料(2)

生産力と戦力 前回は地勢の成り立ちをみた。今回は、その地勢による生産力について考える。 時を戦国時代に移す。戦国大名の領国の経済力は概ね石高で把握可能である。現在で言うなら国内総生産ということになる。ただ、太閤検地を待つまでは、全国的統一基…

地勢と生活文化 郷土史研究用資料(1)

地質学に付加体という言葉がある。 その前に我が豊後の地勢を強引に分類してみる。北から国東半島、中部大野平原、南部山岳地帯と大別出来る。国東半島から肥後、そして薩摩まで豊後を斜めに白山及び霧島火山帯が貫いている。また、日本を東西に貫通する中央…

週末に想う

退職後、初めての週末にある。 在職中は金曜日の夜から土曜日の朝までの時間がこの上なく好きであった。こういうのを至福の時間と言うのではないか。夜更かしも放題ながら、特に朝の光が部屋一杯に満ち溢れる土曜の午前の時間が堪らなくいい。光が徐々に明る…